まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

優等生のあなたへ。直感を否定するな。もっと自分本意に生きていい。

19時50分。お風呂に入るつもりだった。その前にケイタイをチェックした。いきなりLINEがきた。「今日は忙しいかな?」大学時代からの友人だった。電話で話したいという誘いだ。一瞬迷った。お風呂に入ってゆっくりしたい。けれど、と思い直した。このタイミングを大事にしたい。「ちょうどボケっとしてたし。いいよ、30分くらいなら」と返信した。

電話はすぐにかかってきた。話の内容はわかっている。最近の彼女のお悩みは、周りから見ればたいしたことない。彼女もそれはわかっている。しかし、どうしようもない。たまに今度いつ会うかもわからない友人に聞いて欲しいだけだ。わたしの中で結論は出ている。彼女は、さんざん迷って傷ついて話してを繰り返すうちにその状況に慣れてくる。ある日、「わたしはこういう悩みを持った人なんだ」と開き直れる日がくる。彼女からすれば、開き直っているつもりはないだろうが。

話しを聞き始めて10分。彼女のフレーズに違和感を感じてきた。「その人に悪気はないと思うんだけど」何度も言う。そうじゃない。相手に悪気はあるんだよ、と指摘した。あなたが悪気はないと思おうとしているから苛立つんだよ、と伝えた。一瞬、間が空いた。「やっぱりそうかなぁ」と返ってきた。私も不思議だった。なぜそこまで断言できるのかわからなかったが、明らかにそう感じたからそう言った。それが彼女の心にすとんと入ったらしい。

30分くらいのつもりで話したが、15分で終わった。すこしばかり肩透かしだったが、予定通りお風呂に入った。湯船に浸かっていると、このタイトルが浮かんだ。私たちは、日本ではそこそこの有名大学を卒業した。高校まで優等生で通ってきた。そんな私たちにありがちなこと。直感をムシすること。直感ではなく、やるべきことを優先すること。学校では、それが良しとされた。反発せず、さぼらず、人よりも努力する。それが明るい人生のためだと教えられた。しかし、どうだろう。社会に出れば、むかし優等生だったかどうかは関係ない。意見の出し方が悪ければ、カタブツだとからかわれる。学校では生きやすかったが、社会では生きにくい。彼女も常識、周りからの視線で自分を見るから、がんじがらめになっている。わたしも同じ。だから、私たちにはこのフレーズが必要。

直感は否定しないで。もっと自分本意に生きたっていい。その方がきっと何もかもうまくいく。



ふーっ。スッキリしたっ!人生の答えに、優等生も劣等生もない。あるのは、わたしはどう感じるか。これに尽きる。

大黒摩季 夏が来る

以上。