35歳ゆるゆる妊活日記 ~大泣きしたあとは②~
さっきの続きです。
35歳ゆるゆる妊活日記 ~大泣きしたあとは①~ - まいにちワンダーランド
検査台に乗る
この検査台がいやなんです。
カーテン越しに先生の気配。カチャカチャと音を立てる器具。これが嫌で来たくなかった。
でも、がんばらなきゃ。大丈夫。大丈夫。
ふーっと深呼吸。
「これ見えますか~?」と左側の画面を見るよう、うながされる。
「はい、見えます」
「ここが卵巣ですね~。右ですね~」
「はい」
「左ですが・・・」
「え・・・?」
(が、ってナニ?意味はあるの?)
「ちょっと卵が見えませんね~」
「はあ・・・」
今の私の体がどの状態にあるのか、知りもせずに行ったから、卵があるはずだとも思っていなかった。けれど、あるはずのものがないと先生が言っている。
「はい、終わりました。一度外に出て待っててください」
見解を聞く
外で旦那さんが心配そうに待っていた。
「あのね・・・」と今聞いたばかりの先生の不安な言葉を伝えようとすると、すぐに旦那さんと診察室に呼ばれた。
中では先生がこちらに背を向けて、顕微鏡を必死に見ていた。30秒後、「はい、ではこれですね・・・」と、さっき見てもらったわたしのおなかの中が画面に映る。見ても良くわからない。いいのか悪いのかわからない。
「これが・・・動いてないですね・・・」
あ、動いてないといけないんだ。
「その原因は、これがちょっと少ないからですね。自覚はありますか?」あぁ、やっぱりわたしのせいなんだ。
「はい、あります。」
「とはいっても、こんな時でも妊娠している可能性はありますから。次はこれとこれを見てみるので、3日~1週間後に来れますか?」と先生。旦那さんの方を振り返ると、いきなりこちらを向かれてびっくりしている。そして、何が起こっているかもわかっていない様子。
「はい。調整してみます」と、とりあえず私が答えた。
診察室を出る
部屋を出るときに「お大事に~」と言われ、違和感を感じた。その時は、違和感の原因はわからなかった。けれど、今になって思うと、お大事にって病気の人に言う言葉じゃないのかな。ちがうの?
血を抜かれた時に看護婦さんが針を刺しまちがえたので、左腕がちくちく痛んだ。それで余計に気がめいった。ふだんはそんなことしないのだけど、旦那さんの肩に頭を預けて会計を待った。
時刻は16時を回っている。それなのに待合所には、まだまだたくさんの女性たち。みんなえらいなぁ。旦那さんと来てる人の方が圧倒的に少ない。どの女性も強く見えたが、どこかで彼女たちから悲壮感をかぎとろうとしている自分もいた。わたしって今、自分をかわいそがってるのかな。
車に乗る
外はまだしとしと雨。
旦那さんがタバコを吸う間、助手席でぼーっと待っていた。旦那さんが車に乗り込み、発信。
「どうする~?シュークリームでも食べに行く??」と明るく話しかけてくれる。近くにおいしいシュークリーム屋さんの本店がある。前からそこに行きたい行きたいと旦那さんが言ってた。
「うん、そだね、行ってみる?」と答えた瞬間、目から涙がつーーーっと落ちた。そこから止まらなかった。どんどんどんどん、あふれてくる。旦那さんがすぐに気づいて、
「どうしたの、泣いてるの、かわいそうに」と運転しながら片手を伸ばしてくれる。けれど、旦那さんの方は見ることができずに、ずっと窓の外にを眺めていた。雨はまだ、しとしと降っている。
つづく。