まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

35歳ゆるゆる妊活日記 ~大泣きしたあとは③~

つづきです。

35歳ゆるゆる妊活日記 ~大泣きしたあとは①~ - まいにちワンダーランド

35歳ゆるゆる妊活日記 ~大泣きしたあとは②~ - まいにちワンダーランド

 

 とまらない涙

後部座席に置いたカバンから、ハンカチを取り出すこともせず、ただただ出てくる涙を、手でぬぐっていた。言葉も出ない。

「そんなにつらかったんだね」

旦那さんが信号とわたしを交互に見ながら運転している。

「ほら、ここがシュークリーム屋だよ」

「う・・・ん」

雨が降りかかる窓から、明るく照明の光る2階建ての店内が見えた。雨だというのに、外にまで列をなして並ぶ人もいた。

今ここから降りてシュークリームを食べる気にはなれない。旦那さんもそれをわかって、そのまま車を走らせた。ごめんね。行きたかったところなのにね。自分でもどうしてこんなに涙が出るのか、びっくりしていた。だから、

「自分でもわからないんよ・・・」と言ったら、余計に涙が出た。

「そうやね、どうしていいかわからないもんね」と旦那さんが答えてくれる。

「帰ってゆっくり考えよう」と彼が言ってくれたけど、何を考えたらいいんだろうと思っていた。


涙はとまる

晩ごはんは、いつものスーパーに寄ることにした。その前にフードコートのふたりのお気に入りのからあげ専門店で小腹を満たした。涙はもう出なくなっていた。それから、そば麺と巻きずしを買って帰った。それなら簡単に作れる。

「そばが食べたかったんだよ」と旦那さんが言ってくれた。ふだん通りテレビを見ながら、ごはんを食べて、おふろに入った。

 

旦那さんに打ち明けてみる

おふろあがりに、

「ねぇねぇ、別に子どもがいなくてもいいよね?」と聞いてみた。同じ質問を結婚する前もした後も、それから何度もしていた。そのたびに旦那さんは「そうだね」と言う。

 

けれど今日は、それに付け加えがあった。

「そうだね、でもやることをやってから結果がだめなら仕方ないと思うよ」

やること、というのは病院に行ったり、体を妊娠しやすくしたり、努力するということ。

そうかぁ、そうだよね。逃げてちゃだめだよね。

「そうだよね、わたしたちはまず、自分の体をチェックしてもらってるだけだもんね。まだわからないんだもんね」とわたし。

「そうだよ、運動したり、温泉につかったり、そんなことでもいいやんか」と旦那さん。

 

うーーーん。ちょっと期待してた答えと違うな、と思った。それを素直に言ってみた。

「わたしは、もういいよって言ってほしかったんだけどな」

 彼はふふっと声に出さずに、苦笑いをしたように見えた。

 

彼の気持ちを考えてみる

彼は子どもが欲しいんだ。もちろん、わたしのことも大事にしてくれる。子どもがいなくてもいい、けれど、あきらめるのはまだ早い。きっと彼はそう言っている。わたしもそうだと思う。

でも、体をいじくられて、はずかしい思いをして、痛い思いをしてまで、なんでここまでって思う気持ちも本当。でも、今ここでやめたら後悔するかもしれない。

自然妊娠を望んでいるけれど、年齢的にも若くないし、仕事的にも妊娠するなら今って思ってる。だからあせる。でもあせるのはよくない。堂々巡り。こんなとき、どう考えたらいいんだろう。

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つづく。