まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

ティッシュ配りに縁のない男。

駅前や路上でみかけるティッシュ配りの方々。わたしもチラシ配りの経験があるから、大変さやみじめさはわかる。

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けれど、朝の急いでいるとき、少し前で待ち構えている人を見つけると、正直めんどくさいな、と思う。

きのうの朝、最寄り駅前でスポーツクラブのティッシュ配りをしていた。四方八方からくる人たちに女性ひとりでクルクル回っている。

ちょうどわたしの番がきた。タイミングよくすり抜けるつもりだった。「どうぞ!」と勢いよく声をかけられ、とってもいい位置にティッシュを差し出してくれた。受け取ってしまった。


その日ティッシュは、カバンの中でアッチコッチ動きながらわたしの気にはとめられていなかった。自宅に帰ってカバンからお弁当箱といっしょに取り出され、そこにあってもなくてもいいかのようにポンっとテーブルにおかれたままだった。


21時過ぎに夫が帰宅。おかえりー。ただいまーーの次に「あ!」とテーブルを見て「あみちゃんは、これがもらえたんだね…」と。

すぐに何のことかわかった。夫はティッシュ配りに縁がない。欲しい欲しいと思って近づいたのに、自分の手前でティッシュがなくなる。通勤ラッシュで人が列をなしていて、ちょうど自分にだけティッシュが渡されない。

そんな話をよく聞く。つくづくおもしろい話。さて、今日は?「どうしたん?」「それがさぁ、駅前の喫煙所でタバコ吸い終わって、その人に近づこうとした途端、くるっと回転して、反対側の人たちに配り始めよったんや〜」

わたしと逆やん!!「なにそれ、ウケるね。そんなに欲しいなら、くださいって言ったらくれるよ」「それははずかしい」「そっか。あくまで自然を装いたいのね」「うん」


ティッシュは生活の必需品。よくよく考えたらもらっておいて損はない。これからも夫の代わりにティッシュをもらおうと思ったのでした。ちゃんちゃん。

ちなみに、今朝はもうティッシュ配りの人たちはいませんでした。


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