まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

天気、どしゃぶり。日曜日の朝。

9時。パチッと目が覚めた。

横を見ると口をカパーと開けて寝ている彼。じーっと5秒くらい見つめたけど、起きそうにない。

 

よっこらせ。起き上がると背中越しに「どーしたのー…」「トイレー」「ぼくも行くー」「いっしょに行くー?」「うーん」(同意)これがわたしたちの休日の朝のあいさつ。もちろん、トイレはいっしょに行かない。だって便器は一個だもん。

 

それから約1時間、ベッドの上でごろごろ。これも休日のルーティンワーク。彼はルマンとかいうフランスのF-1みたいな動画を見てた。わたしは何もすることがなく、その背中をさすりさすり。そうしているとおなかの中のもう一人がもぞもぞ動く。あれ、ちみもさすさすして欲しいのね。手を離すと「やめないでー」わたしの手は二本。うー。「こっちも動き出したんですけどー」「あれ、そうなの?」「はい」結局、声に出した方が勝ちとなった。

 

「お嫁さんになってくれてありがとう」おもむろに言い出す彼。結婚して3年も経つのにまだこんなことを言ってくれる。

 

さて、そろそろ起きようか。昨日、仕事帰りにデパ地下で買った彼の好物のお惣菜パン。アップルパイとソーセージパンがあるよ。うれしいでしょ。

 

「タバコ吸いに行ってくる」もーう。はやく食べたいのにさ。いいよ、コーヒー淹れて待ってるよ。先にりんご食べてつないどくよ。まだ帰ってこないならバナナも食べちゃうよ。

 

テレビをつけたら奥さんの進行ガンと戦う新婚夫婦のドキュメンタリー。奇跡を信じてマラソンを完走する彼らを見ていたらうるうるくる。最近、ちょっとしたことにも感情が高ぶる。はずかしいから彼のほうを見られない。そんなときは、そっと側に寄ってきてぎゅぅとしてくれる。

 

外はザーザー降りの雨。「窓開けとく?もう閉める?」「そやね、閉めよっか」そんなこともふたりで決めるわたしたち。

f:id:kinandun:20160619134820j:image

 

ありきたりたけど、健康でいようね。約束した。とある日曜日の朝。天気、どしゃぶり。