お父さん、私は大好きに生きるよ。あぁ……めん。
気づいてしまった……
気づいてしまった……
私、デザインが好きだーーーーーーー
これ、めっちゃいいよ!
仕事でチラシを作るのが大好きだった。もう16年になる。気づかないフリをしていたのに、気づかざるを得なくなった話である。
一日中、ひとりでそれをやっていても全然苦にならなかった。あっという間に一日が過ぎて、それを見たお客さんがふらっと来店してくれるのがたまらなくうれしかった。
パソコンの基本ソフトにあるエクセルを駆使して見栄えのいいものを作り続けた。同じデザインを連発するのはポリシーに合わず、誰に強制されるわけでもないのに新しいものを作り続けた。ただの自己満足だと思っていた。
ある日、無料でイラストレーターのソフトを会社が支給してくれるというので申し込んだ。本一冊をさっそく買いに行き、独学で手に入れた技術でエクセルよりもはるかに細かい設定ができるようになり、ますますのめり込んだ。16年たった今もそれは仕事にも役立っている。
それなのに。
それなのに。
私よりも早くて技術を持ってる人はたくさんいる。学校で勉強もしていない素人の私なんかが、私なんかが……って思ってた。ましてや、お金をもらうなんて。仕事では給料をもらっているのに、おかしな正義を振りかざしていた。
だけど大好きだったんだ! ずっとずっと大好きだったんだと気づかざるを得ないことが昨日、起こってしまった。朝、ある人が言った。「僕はこれ、全然苦にならなくてね、もらった才能だと思ってるから」
文章をスラスラ書けることに対しての言葉だった。私だって書きたいのに……いいな、私もそんな風に思えるもの……あったらいいのに。うやらましくて、悲しかった。
昼になって、隣に座っている後輩が申し訳なさそうに言った。「保育園の卒園式までに寄せ書きを作らないといけないんですけど……簡単でいいんでデザインつくってもらえませんか……?」ものの、10分でできた。
これやないかーーーい! 苦にならずに作れるもの、ずっとあったやないかーーーい! でもダメ、まだダメってなぜ私はかたくなに拒んでいたんだ。
朝のある人はこうも言った。「それはね、心の中でね、誰かが否定してるね」母親なのかもしれない、とその時は思ったが、父親かもしれない。父は好きな飲食業をやめて実家を継いだ。私が急に産まれたからだと聞かされていた。急に産まれることはないんだけれども、家族に責任を持つためには好きなことを仕事にしてはいけない、それでは欲しいだけのお金は稼げないと子どもながらに思い込んだ。
両親は強制しなかった。仕事も勉強も結婚も、何一つ口出ししない。それなのに、38年も思い込んできたなんて不思議だ。父が好きだった。母も好きだった。私が違う生き方を選ぶことは両親を否定することだと思っていた。
でもそうだろうか? 強制されずに作ったチラシと強制されずに選んだ生き方。どちらも私が選んだはず。誰かを引き合いに出して、ダメだ、できないと逃げ続けているのは誰でもなく私。楽しく作ったチラシは誰のせいにもしない。
強制されるとかしないとか、そんな問題じゃない。好きでやるかやらないか、ただそれだけの単純な話。
好きを仕事にするなんてバカげてると言われるかもしれない、無料アプリつかってるんだからできるの当たり前だろとそれでお金もらうのか? と言われるかもしれない。だって、私がそう思ってたからね。同じ様に考える人、そりゃいるよね、当然だ。
でも。
それでも。
覚悟が決まるときはやってくる。決めざるを得ないときは必ずやってくる。
つづきはこちらに書きましたー♡
お父さん、私は大好きに生きるよ。あぁ……めん。 - ALWAYS, LIFE IS A STORY