まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

私は自由だと心の中で叫び続けた。縛り付けているのは自分だったのに。

「自信が欲しい」

高校受験をくぐりぬけて、県内トップの公立高校に合格したあたりから猛烈に思うようになった。

私以外の周りは全員、自信をもって自由にふるまっているように見えた。私だけ止まっていて、私の半径5ミリから先は笑い声や、ひそひそ話、声に出さない感情もめまぐるしく動いていた。

私は固くなって、机の下にかくてある本を握りしめる。

タイトルは「自信」

自信が欲しかった。ずっとそう思ってきた。

言い換えれば、自由に生きたかった。彼氏がいれば、結婚すれば、そう生きられると思っていた。

家族以外の誰か、たった一人でも私を認めてくれたら自信をもって、自由に生きられると思っていた。だけど違っていた。不安はいつもつきまとう。

「これをしたら、変なヤツと思われる」

「私なんて」

正しく生きようとした。

誰かに自信をつけてもらうために。

どんどん自信をなくしていった。

表面上では結婚して、子どもを産んで、働くお母さん。順風満帆の生活。だけど、「私はまだ自由じゃない」心で叫んでいた。

今年の5月、夫婦で待っていた2人目を妊娠した。コロナで在宅勤務となった。念願の自宅で仕事。これぞ、私の求めていた自由だ。やっときた。

誰の目も気にしなくていい。パソコンの文字なら感情もわからない。楽しかった。気分がよかった。

妊娠6か月目の検診で「水頭症」と診断された。

はじめて聞く病名だったが、脳に異常があるのかもしれない、無事に生まれてくるかどうかもわからないと言われ、私の自由の城は砂のようにさらさらと流れていった。

染色体異常の可能性、足にも問題があるかもしれない、不安をあおる言葉だけが入ってくる。泣いた。

「私にもこんなことが起こるんだ」

誰かに自信をつけてもらうために、正しい道を選んできた私に、こんなイレギュラーが起こるなんて。

どうしよう、どう思われるだろう。周りの反応で生き方を左右されていた私に突き付けられた、大きな課題だった。

診断を受けた日の翌日。

これが新しい人生の始まりなんだと思えた。これから私が生きていく中で、モノを書いて伝えていくために、この経験はきっと役に立つものなんだと思えた。

今日みたいに動画を取った。長女と話すとまだ涙が出るから、一人で撮った。

「この子は私に何を伝えているんだろう」と聞いてみた。子は、母親を助けるために生まれてくると信じているから。この子を通して、私は私に何を教えようとしているのか。

答えは、2つ

「なんでもスムーズにいかせる必要はない」

「なんでも一人で抱え込まない」

これを手放していく。

つまり、私が欲しいと思っていた自由、自信は私の中にあるんだと。

抱え込んでいたものから解き放たれていく。

「すべての現象は中立だ。いい悪い、ではない」

「コントロールしようとするのではなく、すべてはコントロールできている」

思うようにいかない事態が起きたときに、思い出せるように書き記しておく。

「お母さんは自分の好きなように生きるよ、結果に期待しない、ただただ好きなことをする。起こったことを受け入れる。常にフラットで生きたいと思います」と最後に言う。

私、偏ってたんだね。気づいた。

いいほうにコントロールしようとしてた。人生を。相手がどう思うかも相手の自由。

そういうことなんだ。

ありがとう。

今日もいい日だった。日日是好日