まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

もしも僕が死んだら…と夫がフツーに言った。

「もしも僕が死んだら、これだけのお金が入ってくるようになってるからね」

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「死ななくても障がいを持って働けなくなってしまったら、毎月これだけのお金が入ってくるよ」

淡々と語る夫の目は見ない。

タンタンと夕飯の材料を切る。

だってさ。

だってさ。

死ぬ?

そんなこと考えたくないよ。

「暗くなってきたんだけど」

「そう?ごめんね。でも、考えとかないといけないからさ」と夫はさらに続ける。



現実と理想。


夫の口ぐせ「考えよう」

妻の口ぐせ「なんとかなる」

夫は、現実論。

妻は、理想論。

夫婦って、でこぼこって言うけれど、ほんとにそう。わたしたちがそうだもん。

いつ死ぬか、なんて考えたくないわたしといつ死ぬか、わからないから備えられるものは備えとこうとする夫。

こんなわたしたちが夫婦になって、もうすぐ3年。



三連休もバラバラに過ごした。

この三連休、夫は休み。妻は仕事。

夫は、初日にライフプランナーさんと今後の将来設計の話をしたそうだ。

そこでの話を説明してくれるうち、夫がどれだけ今後のお金のことを考えてて、貯金もしてるかってことがわかった。

夫は毎月おこづかいの中から、給料の1/3を資金運用にまわしてた。

妻は毎月おこづかいが足りなくなって、家のお金から前借りしてるっていうのに。

なんという違い。 


これが愛なの?


僕がいなくなっても、きみが一人で生きていけるように。

それって愛?

愛だよね。

でも、思考は現実になるっていうやん。悪いこと考えたら、ほんとにそうなっちゃうかもよ。

だから、まっすぐ目を見て真剣には聞けない。

でも、ありがとう。安心した。




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