たどり着く
ふらっと立ち寄った本屋。何を買うつもりもなかった。でも、何か期待していた。
目を引くタイトルに立ち止まった。最後まで読んでみたくなった。どうしよう。
ムダ使いをためらっているわけではなかった。本のタイトルに魅かれたじぶんを、なんとなく責めていた。
しかし、3分後にはレジに並んでいた。「出会いは直観だから」とじぶんに言い聞かせながら。直観は正解だった。夫婦のわかりやすくない愛を、わかりやすく伝える本だった。読み終え、その結末を喜ぶじぶんにほっとした。
ふと考える。わたしはこの本に何を期待していたのだろう。その本には、作者が用意してくれた結末がもちろんあった。私が求めていたものって何?
無意識に期待している何かがある。そこにたどり着くのは怖い。わたしの物語の結末は、じぶんで作る。そう決めて、わたしはまた次の本を読む。