まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

ふくろうがくれた、ありがとう。その2

昨日買った、しあわせのふくろうが、またありがとうを運んできてくれた話。

結婚3年目のわたしたち夫婦の夢は、子どもをつくること。でもね、そんなにカンタンじゃないって聞いてた。友だちもそう言ってた。もうアラフォーだし。冷え性だし。仕事いそがしいし。思いつくマイナス要素はたくさん。

だからね、マイナスをプラスにするためにがんばってみた。夢は口にすれば叶うから、周りに宣言してみた。妊娠3ヶ月目の後輩にアドバイスされた通り、体温計をすぐに買ってみた。ご利益があると聞いた何人もの神さまにお参りに行ったみた。けれど…。

まいにち、毎日そのことばかり。どうしてだろうのフアンなキモチ。わたしならのキタイのキモチ。行ったり来たり。上がったり下がったり。笑ったり、泣いたり。もうつかれちゃった。わたしはひとりでがんばってる。だんなさんに八つ当たり。

もうやめよう。考えるのやめよう。口にするのやめよう。体温測るのやめよう。神だのみもやめよう。でもやっぱり考えちゃう。どうしたら考えないようになるのかな。またそれで悩む日々。

仕事から帰ってきて、ポストを開けると封筒が入ってた。宛先は、だんなさんとわたし。差出人は、母とおばあちゃん。先週、おじいちゃんの四十九日だったから何かのお手紙かな。夕刊に紛れたまま、それはテーブルの上に。ごはんの支度、洗濯の準備をバタバタ終わらせ、封筒を思い出す。中を開けると…
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手紙もあった。「おばあちゃんとお母さんの念が入ってますから。あせらず、ゆったりとした気持ちでお過ごしください」

おまもりの袋を見た瞬間、力がふっとぬけた。手紙を読みながら声をだして泣いた。ああ、わたし泣きたかったんだ。ひとりで勝手に「できない要素」を並べ立てて、超えなきゃいけない壁を作って、勝手にがんばってたんだ。

落ち着いてからお礼のLINEを送った。返事は「けっしてプレッシャーをかけているわけではないからね」と。さすが、お母さん。がんばりすぎるわたしのために、あえて、これをくれたんだね。だからこのタイミングなんだ。このお守りは、願かけじゃない。がんばりすぎないためのお守り。

ありがとう。
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