まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

発言は金なり。

「沈黙は金なり」をモットーに生きてきた。職場でも恋愛でも、時には家族にさえも言いたいことをぐっとガマンする。それが相手を尊重することであり、周りからも賞賛されるべきものだと思ってきた。やみくもにまくしたてる人もいるが、結局は周りから陰口をたたかれて損をする。本人も、最終的には後悔するはずというのが、これまでの自論だった。

しかし、はたして本当にそうなのだろうか。少なくとも、私は言いたいことを言いたいし、はっきりモノを言う人をうらやましく思っている。それに薄々気づいている自分から、いよいよ逃げないことにした。

そのために、話し方講座に通い始めた。初回の講座で自己紹介ビデオを撮ってもらった。恐る恐る観察したところ、思っていたよりもうまく、しかもいい感じに話せているではないか。これには自分でも驚きだった。それで自信が付いたのかもしれない。その日から少しずつ、感情を素直に口にするようになった。特に職場で我慢してきた私には勇気がいった。ところが意外にも、すぐに良い反応が出た。なんだか楽しいのだ。さらに不思議なことに、周りも変わってきた。こちらもまた楽しそう。私はひそかに自信を付けた。それは、こんな話を聞いていたからでもある。

話し方講座の二回目で教わった。会議も松本人志のすべらない話も、結局は聞き手の姿勢で決まる。笑っている人がいれば、自然と周りにも電線していく。つまり、気持ち良く話す私は気づかないうちに、いい聞き手にもなっていたのだ。これは、まさに「発言は金なり」を体現したと言えよう。補足すれば、発言は正解である必要はない。「嫌われる勇気」の著者も言っている。他者の承認は必要ないと。しかし発言することで、人となりを理解してもらえ、結果的にそれが承認となる可能性は高い。少なくとも、私のような目立ちたがり屋は、発言してなんぼの世界、ここ関西に住んでいる縁を感じて今日の気づきの締めくくりとしよう。

明日からもっと発言しよーっと!