【出産記録・番外】〜びっくりさせてごめんね、お母さん〜
感動した、泣いた、出産を体験できた、たくさんの反響をいただきました。ありがとうございます。
【出産記録】10月10日!智子! - まいにちワンダーランド
ブログを書くのは、そのときそのときの一瞬、一瞬のこころの動きを忘れたくないから。忘れない、と思っていても、忘れてしまうから。いいように美化してしまったり、悪いようにスネてしまうこともあるから。
なるべく鮮度の高いうちに、ホンモノを残しておきたい。その気持ちが伝わったときのうれしさがわかりました。ありがとうございます。
ムリなく、たのしく、今のわたしにしか書けないブログにします。今後とも、どうぞよろしくおねがいします。
本日は、感動の出産体験、番外編です。
タイトル「びっくりさせてごめんね、お母さん」
出産後、放心状態。
ピッ、ピッ、ピッ、赤ちゃんとわたしの心拍を確認する音。カチャ、カチャ、ガタッ、処理用具を片付ける音。
目を閉じたまま、足は処理のため開いたまま、その音だけを聞いていた。もう終わったんだ。娘はおなかの中じゃなくて隣にいるんだ。
「赤ちゃん、目ー、開けてますよー、元気ですよー」助産師さんに声をかけられる。「え…」左にゆっくり目を開けると、智子が大きな黒く光る瞳でこっちを見ていた。「あぁ…」ホンモノだ…。
ハッと思い出す。「あの、家族に連絡してもいいですか」「はい、もちろん」分娩室に入る前、スマホとメガネを助産師さんが持ってきてくれていたはず。
「寝てるかな…」「電話してもいいですよ」「あ、はい」履歴から、母をさがす。2コール。ガチャ。
「…あみちゃん…?」
「うん、ごめん、ねとった?」
「え…どうしたと…」
「あのさぁ、産まれたんよ…」
このときになって、母を呼ばなかったことを少し後悔した。立ち会いたかったかな。
「……え…あれ、わたし…夢みとうとかいな…」
「いや、お母さん、ほんとに産まれたんよ。」
「何いいようと、ウソやろ、え、いま何時?」
「ウソやないって、23時に破水して、そこから早かったんよ」
最初は細かった母の声がだんだん強くなっていく。
「…え…ほんとに…?なんで、病院じゃなくてアンタがでんわしてくるとよ…!」
「いや、やけん、もうすぐ産まれるやろうけん、わたしが電話せんでいいっていったんよ…!じゃあ、看護婦さんに変わろうか?」
ただの親子の言い合いになっている。しかも、わたしは足を開いたまま、先生が最後の処理をしているという、なんとも申し訳ない姿。
片付け中の助産師さんたちもクスクス笑っている。いやいや、ココは分娩室ですよ、感動の場でしょ。クスクス笑いじゃなくて、泣き笑いするとこでしょ。
「じゃあ…どうしたらいいと…」観念した母。「わたし、まだ分娩室で2時間待機やから、そこに来てくれたらいいよ」
「そうねぇ…あんた…痛かったやろう…」泣いているようだった。「それで…?ともちゃんは?」
「目ー、あけてこっち見てるよ」
「あら、かわいい」
あんた、まだ見てないやん!!!ツッコミたかったけど、ダブルショック以上の母にこれ以上はダメージを与えまい。
30分後。
助産師さんが「ともちゃーん、おじいちゃんとおばあちゃんがきたよー」とうながされ、父と母、登場。
まだ夢見ごごちな顔面蒼白の母。その夢遊病者のような母に、とりあえず連れてこられただけの父が、ゆっくり分娩室に入ってきた。「あぁ、よかったぁ、夢じゃなかったぁ」と母。まだ言っている。
ちなみに母は怒ってなく、ただただビックリしただけで、はじめてのともちゃんとの対面に目を潤ませていた。
わたしは開いた股の横から、その光景をスマホで隠し撮りした。
後から聞くと、「だってさぁ、産んだ本人から電話があるなんて、ふつう思うー⁉︎」と半笑いされた。たしかに、そうかもしれない。わたしの行動ってヘンだったの?
びっくりさせてごめんね、お母さん。臨月のわたしの世話と、痛みに耐えるわたしを直前まで見てきたのはお母さんやもんね。感謝してるよ、だから最後はひとりでがんばれたとこ、見せたかったんよ。産んでくれてありがとう。
おしまい。
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書きたいままに。つらっつらと日々。
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おべんと、とかとか。
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