まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

夢。

夢には2種類ある。未来への夢。睡眠中の夢。

最近の私はノッている。仕事、家事をこなし、交友関係を広げる。当面の目標は子ども。妊娠を機に、人生の第3ステップへ進むつもりだ。夢は四階建ての家、三人の子ども、二階はエステとパン教室、一階はハワイと台湾の雑貨屋さん。不安もあるが必ず実現できる。だって、私は結婚という夢を達成したんだから。

最近の主人は疲れている。今朝は嫌な夢を見たらしい。離婚する夢。起きたら泣いていたという。彼はたまにそんな夢をみる。前回は自分が死ぬ夢。どちらも悪いことが起きそうだが、実は違う。離婚の夢は、強く相手を思う気持ちを表す逆説的なもの。もう一つは、古い自分を捨て新しく生まれ変わる暗示。落ち込む主人にLINEで夢占いサイトを送り「そんなことないって!」と励ました。

しかし、待てよと思い返す。ほんとにそうだろうか。主人は本当に不安なのではないだろうか。実際に私がそうだ。大きな夢を語るのは、子どもができないかもしれない不安を紛らわすためだ。

私は大切なことを置きざりにしていることに気づいた。私たちは、ふたりで夫婦。ふたりで家族。ふたりで子どもを作る。ふたりで夢を描く。私の夢には、主人がいなかった。自分がどうする、じぶんがこうするばかり。だから、主人の夢の中に私がいなくなったんだ。ごめんなさい。あなたがいるから、今の私があるのに。夢はふたりで見よう。ひとりの夢は、もう見ないし見させない。