まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

Tomorrow is another day

Tomorrow is another day
あなたなら、この言葉をどう訳しますか?

これは4時間に渡る物語の最後に、主人公のスカーレット・オハラが夕日に向かって放ったひと言。実は、この直前にスカーレットはやっと見つけた愛する男性に「勝手にしろ」と目の前から立ち去られている。戦争で焼けた大地に一人取り残された彼女。その場に崩れ落ち、泣き続ける。しかし、はっと立ち上がりこう言う。「Tomorrow is another day」そこで物語は終わる。

 この映画に出会ったのは、20年前。受験を半年後に控えた中学三年生。「さあ、ここをまっすぐ行け」と示された道を歩くことに何の抵抗も持っていなかった。自分の夢は何か、どんな人生を送りたいのか、向き合って考えようとはしなかった。なぜなら、そうすればいいことがある、と教えられていたから。その道を行く方が安心だったから。

 一方、スカーレットが生きた時代は今から150年前、アメリカ南北戦争の真っ只中。リンカーンが奴隷解放を叫んでいた頃。男性は戦争、女性は男性に守られ、たとえ未亡人になっても家を守る。そが当然の時代。それなのに、スカーレットは違っていた。最初の夫が戦争で無くなれば、子供のために一人で事業を起こす。その事業も続けられなくなれば、生まれ育った土地を捨て転々と渡り歩き、居場所を探す。スカーレットには、先を示してくれる先生も親も友人もいない。あるのは、「きっとできる」。この思いだけ。

愛、希望、そして孤独。何度乗り越えたと思っても、私たちにつきまとう愛しくも、やっかいなもの。スカーレットは、それに真っ正面から立ち向かう勇気をくれる。

あらためて今、この映画を見て欲しい人。それは、今の自分。そしてもう一人は母。私は母から巣立った。そのはずなのに、今でも頼ったり、甘えたくなってしまう。母に頼らない自分になりたい。誰にも決められない、新しい道を見つけたい。だから応援して欲しい。そう、母に伝えたい。Tomorrow is another day。今の私なら、こう訳す。予想できるあしたではなく、予想外のあしたにしよう。風と共に去りぬ