まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

俺の日記。

6月30日
25歳の誕生日がきた。これまでの人生を振り返る。俺は一生懸命勉強した。いい学校に入った。みんながほめてくれた。いい職業に付いた。国の仕事だ。先生がほめてくれた。性格のいい恋人ができた。友達にうらやましがられた。結婚しようと思えばいつでもできる。彼女がいるのに声をかけてくれる女性もいる。俺はすべてを手に入れた。みんながすごいと言う。みんながよくがんばったと言う。だから俺は幸せだ。

俺は幸せだーーーーー!!!!!!





よね?

ね、そうだよね?

俺、すごいから幸せだよね??

ねぇ、ねぇ、ねぇってば!!!!


7月10日
25歳と11日。自分以外の人間がとても楽しそうに見える。そもそも人生が楽しいってなんだ?自分のやりたいこと?言いたいこと?伝えたいこと?なんだ、それ?そんなこと考えたこともない。だって、いつも目の前にやるべきことがあったから。

やるべきこと?

そう、やるべきこと。

親や先生がそうした方がいいっていうこと。

社会に出たら、いろんな人がいた。上司にバレないように領収書切る同僚。ちゃっかり、うっかり妊娠して一年で寿退社する同期。客にクレーム付けられても15分で切り替える先輩。悪いことしても生きてられるんだ。俺はマジメに生きてきた。ただただマジメに。だって、そうしないと生きてられないと思ったから。なぜそう思ったんだ?わからない。でもきっと理由がある。見つけるのを無意識にこばんでいる。それでもいい。それでも俺は俺を見つけたい。今からだ。今からやるんだ。でも、どうすればいい?誰か教えてくれ。

続く。