まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

私、しばらく、美容院でオーダーするのやめます。

月に一度、通う美容院。

 

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父が美容商品卸業の2代目だったからか、このペースは当たり前に38年続いている。黒髪ストレートロングヘアの職場の同僚がロッカーで着替えながら、「あーもう、私、半年、行ってないわー」と自虐っぽくぼやくのを背中越しに聞いたとき、「よくそんなにもつね」と心の中で驚いた。美容師の友人にも「エライ」と私の美容院へ通うペースは、当たり前でもなく、褒められるほどのものなんだと知った。

 

決して安くない毎月の出費を抑えても誰にもとがめられないのなら、晩ごはんにお寿司を買ったり、春服を思い切って買ったり、新色リップが並ぶコスメカウンターを見ないふりして通りすぎなくていいように、美容院へ行くのを辞めることだってできる。

 

だけど、どうしても行きたくなる。帰り際に次の予約を取る時は1ヶ月以上、1ヶ月半未満の微妙なあたりをチョイスする。2ヶ月空けるのはムリだとわかっているから。

 

大学4年生から結婚するまでは肩を過ぎるくらいまで髪を伸ばしていたけれど、それ以外はずっとショートだ。高校生あたりまで母に「あんたは短いのが似合う」と言われ続け、三つ編みにしている妹がうらやましいと口にすら出せなかった。

 

美容院通いは好きだけど、自分の髪型が大好きだと思ったことはなかった。いつも鏡を見るたびに、「なんか違う」そう思ってた。だから、月一で美容師さんにオーダーするときも、「悪くはないんですけど……なんか……ちょっと……変えたくて」そうですか、前髪ですかね、そうですねのやりとりが続いて、美容院を出てから1週間くらいはまぁいいんだけど、すぐに今度はこうしてもらおうってダメ出しが入る。

 

洋服もそう、髪型もそう、バッグも、靴も、化粧品も手に入れたものは数週間でイヤになる。飽きる。

飽きっぽい性格なんだと思ってた。友達も環境もたまに「もーいいや!」てぜんぶいらなくなる時がある。私はそういう性格だから髪型も定期的に変えたくなるのは仕方ないんだ、ショートスパンで自分をアップデートできる私はカッコイイって思ってた。

 

 

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