まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

人の価値は誰が、何で決める?

私のエッセイに何度も登場する単語のひとつに「自信」がある。あ、今日は低空飛行ぎみの話ね。読んでいくうちに浮上してきて、ディズニーランドの花火を上から見下ろすくらいで締められたらいいかな。

さて、ここは教室。私は高校1年生。県内ナンバーワンの公立高校。ワックスがけをするたびに木造の床のスキマから湧き出てくる黒いゴミたちですら、ここを踏みしめていった先輩たちの足跡のように私は思っていて、背中に光る星形が言葉にしなくても「努力できる人」をあらわしていることが、通学路の優越感。

つまり、私は誰かの足跡ばかりの城を行き来できる許可証をもらうことで、自信にしていた。だけど城の中に入れば、みな同じ。わかりやすい階層ピラミッドのひとつになるために、耐えられる場所を探しているうちに、「私って?」のループにはまってしまった。もちろん、悪い意味で。

早稲田大学の指定校推薦をサラリともらうことで、どの分野でもピラミッドの上層階にすらいけなった劣等感をチャラにした。

みんながあこがれる東京キャンパスライフで探し続けた「本当の私」を始めるつもりだったのに、今度は地方出身の引け目。社会人になれば、高学歴が悪目立ち。結婚、出産、私の40年はどこを切り取っても誰かに示す「私」を作ることしか考えてなかったといってもいいくらい、地上スレスレのあやうい精神状態ぢったと今さら気づけてる。

つづく。