まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

捨ててきた気持ちをゴミ箱から引っ張りだす。

ずっと、思えばずっと、気持ちを捨ててきた。

キラキラと光る小さな宝石を見つからないように隠してきた。

捨てたことは誰かにはバレているのかもしれない。いつも私を見ているお母さんは、わかっていたのかもしれない。

だけど、お母さんもきっと捨ててきた気持ちがあって、自分もそうだから、「あんたも仕方がないよね」と見てみないふりをしてたのかもしれない。だって、その宝石はまぶしすぎるんだ。目がくらむんだ。触るとすごく熱いんだ。熱くて熱くて、火傷したら大変だ。

捨ててしまおう。

最初からなかったんだ。

そう、そんなものはない。

何年も、何世代もそうやって捨てられてきた気持ち。

それは「私には才能がある」という気持ち。

「世に見せて試してみたい」という気持ち。

なぜ、捨てなければいけなかったの?

子育てには不要だったから?

夫よりも秀でていては良くないから?

なんか、違う。

ずっと抱えて隠してきたゴミのような気持ち。

ゴミじゃないよ、宝石なんだよ。

どこにも売ってない、めちゃくちゃ輝く、見せびらかしたいものなんだよ。

「盗られるよ」

「妬まれるよ」

そんなことない。

だって、みんな持ってるんだもん。

持ってることを隠してるだけなんだもん。

隠してることすら忘れて、「あれがいい」って指さす遊びをしているんだもん。

盗られやしない。

妬まれたってなくならない。

「私には才能がある」