まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

きっと産んでた。出生前診断でわかっていたとしても。

「偽善者みたいだけど……」

涙を拭きながら、言う私に目の前の助産師さんも目を潤ませながら、「そんなことない」と言ってくれた。

「偽善者みたいだけど、私はどんなんでもいい。命をもって生まれてきてくれたから」

じゃあ、これは?

もしこうだったら?

と聞いたこともない病名を告げられたら、同じように答えられる自信はない。

だけど、

何度自分に聞いても、

「産む」

それしか出てこない。

出生前診断で、脳がうまく作られていないこと、歩けるかどうかもわからないこと、足が変な形で生まれてくること、そのせいで骨が折れやすいこと、鼻の形も微妙に曲がっていること、関節が固いこと、寝返りもハイハイもフツー通りにはいかないこと、それをぜんぶ告げられていたとしても、

だとしても、

「どうなるかわからない」

今と同じように産むことを選択していたと思いたい。