まいにちワンダーランド

~過去をはき出し光に変える毒出しエッセイ~森中あみ

チャップリンの言うように世界一の大役者を演じるのだ。

人は思った通りの人になる。

 

チャップリンの名言にもある。

 
人に大切なのは、自信を持つことだ。
私が孤児院にいたとき、腹をすかせて街をうろついて食いものをあさっていたときでも、自分では世界一の大役者ぐらいのつもりでいた。
つまり勝ち気だったのだ。
こいつをなくしてしまったら、人はうち負かされてしまう。

 

 

 

だけど、無人島に一人ぼっちだったら役者も何もない。

つまり、私を「思った通りの人」に思ってくれる人が必要なのだ。

 

 

トップ営業マンだった人が、ヘッドハンティングで転職したとしよう。

あたらしい職場では、彼をトップ営業マンとして扱ってくれる人ばかりではない。どんな人だろうと遠目に見る人、足を引っ張ろうとする人もいる。

 

それでも彼が自身をトップ営業マンだと信じて疑わず行動すれば、そこでもまた同じようにトップになれる可能性はある。

けれど、もしかして…とひるんだとたん、二位、三位に落ちていく。

100人の営業マンがいたとして全員が一位にはなれない。

一位の人は、最下位の人がいるからこそ一位になれる。

受賞スピーチで「みなさんのおかげです」と言うのは、そんな意味も込められていると私は思う。

 

 

これは100人規模の話ではなく、夫婦でも起こる。

夫婦それぞれに役割を演じているのだ。

私の夫は細かいところまで気が付くタイプ。

私も整ったリビングでないと落ち着かないタイプなのに、私以上に細かい夫がいると、靴下を片方落としているだけでズボラ人間のような扱いになる。

 

 

同じ人間でも環境と人間関係によって、外に出てくる要素が変わってくるのである。

つまり、人は環境に応じた役割を演じている。

 

ということは。

もう答えは出ている。

「わたしはこんな人間です」どこにいっても、誰といても立場すらわきまえずにふるまっていれば、「そんな人間」として扱われる。

つまり、「そんな人間」になれる。

チャップリンの言うように世界一の大役者を演じるのだ。